どうも、白滝です。
私が生徒に教えるときは、ドップラー効果の公式なんて一切教えませんし、教えるべき理由がわかりませんが、
教科書には
しっかりと「公式」があります。
でもね、
あれ、いらんでしょ?
ドップラー効果の公式。
そのまま使う入試問題、見たことある?
大学側が、
そっくりそのままに問うてくることなんて、
よっぽどない。
ドップラー効果の公式を使えば解ける!!!
問題なんて、出す価値ないのですから。
覚えれば解ける。
じゃあ、大学は出さないって。
じゃあ、どんな問題を出すのか?
私が見たことがあるのは、
ドップラー効果の公式の導出
を穴埋め形式で解く問題ですね。
公式を1から作る問題。
だって、
ドップラー効果って「波の基本」が理解できていれば、誰でもわかる問題ですから。
ドップラー効果って、
波の基本をちょっと利用しただけ。
波の基本を前提に、
少し手を動かせば、
だれでも公式くらい導けるようになっている。
ドップラー効果に、
特殊な公式はいらんのです。
覚えるべき公式なんてない。
だから、
大学側にとっては、
ドップラー効果は「波の基本がわかっているか?」を問うのにちょうどいい応用問題なんですね。
基本がわかっていれば、
誰にでも解けるから。
じゃあ、、その波の基本って?
どんなのが、波の基本っていうの?
「波って、そもそも何なのか」知ってますか?
うーん。
知ってる?
・・・知らんでしょ?
そう。
だーれも、知らないのだ。
公式は覚えていて、
その使い方は知っていても。
公式を使って、
問題を解くことはできても。
そもそも、波ってなんですか?
を説明できない学生が多すぎる。
「〜」じゃないよ?
クネクネしたもんを書いて、
これが波です!とか笑いもんだぜ?
えっ、公式?
公式も、波を説明していません。
それとね、
波って、
図で説明するもんじゃないんだぜ?
よく図で説明されるのは、
「波の性質」のこと。
波ってね、こういう性質があるよ〜
ここまでの長さを波長とするよ〜
この高さを振幅と呼ぶよ〜
でも、
それは波の説明じゃない。
波の定義じゃない。
ただ、
波ってこんなもんだよね〜
という性質。
じゃあ、
そもそも何を「波」と呼んでいるのか?
波って、
どんなものを波と呼ぶか
知っていますか?
波の本質は、力学にあります。
本当は、
この記事を読んで欲しいけどね。
波の本質は、力学にある。
具体的には、
・1つの媒質(粒子)が単振動している。
・その運動が「流体摩擦」等によって、となりの媒質(粒子)に伝達する。
・また、その運動が・・・
が繰り返される「現象」を波というのだ。
簡単に言えば、
・それぞれの点が「別々に」単振動していて、
・それが流体摩擦で伝達しているだけ
なんだな。
だって、
波の本質はこれなんだぜ?
このおもちゃの振動が、波の本質。
地面と接しているから、
このおもちゃは動いちゃっているけれど、
単振動では
物体は「振動の中心」から動かないんだ。
(ね?振動しているのに、動いてないでしょ?)
そして、
この「単振動」が流体摩擦によって、
となりの媒質(粒子)に伝わる。
摩擦によって、
となりの粒子に力が加わって、、
少し経つと
同じ運動をし始めるのだ。
これが、振動の伝達。
摩擦やその他の原因によって、
振動が隣に伝わる。
そして、
またとなりに伝わる。
これが繰り返される「現象」を波という。
つまり、波の本質とは
振動の伝達
なのだ。
その現象を、
物理学者は「波」と呼ぶことに決めた。
ということを知っていると、「波の基本事項」って当たり前の連続なのです。
波の公式とか、波の性質とか。
これって、
「波ってどんなもの?」という波の定義から始まっている。
そんでね、
波の定義を知っていると、「波の基本事項」って当たり前の連続なのです。
あ〜た〜り〜ま〜え〜
あたりまえ。
波の基本事項その1.波の伝わる速度は媒質で決まる。
波の伝わる速度(「波の形」が移動する速度)って、媒質(水とか空気とか油とか、振動が伝わるもの)の種類とその温度で決まるんだ。
なんでかって?
それは、
振動の「伝達」は、流体摩擦で決まるからだね。(水中とバネは圧力差)
粒子と粒子の関係性。
振動している粒子が、
どうやって
となりの粒子に振動を伝えるのか?
力を伝達するのか?
それは、
粒子と粒子の関係性で決まる。
水分子同士なら、
その間のファンテルワールス力とか、水素結合とか、いろいろ。
空気粒子同士なら、窒素分子と窒素分子のファンデルワールス力とか、窒素分子と酸素分子のファンデルワールス力とか、いろいろ。
その間の相互作用をせーんぶ含めて、流体摩擦だったり、圧力の差だったり。
とある分子の振動が、となりの分子に伝わる。
ぶつかったり、引っ張ったり。
すると、
その隣の分子も振動を始める。
こいつの連鎖だね。
こいつの振動が
となりに連鎖していく様子を、
横から俯瞰して
見ようとしたのが「波」。
こいつ1体だけの振動の様子を、
詳しくみようとしたのが、
力学の「単振動」。
こいつ自体が振動する速さは、
電池の電力の大きさとか、質量とか、そこらへんで決定するけど、、
(単振動でいったら、「F=-Kx(Kは正の定数)」のKの大きさで決まる)
こいつから周りに「振動が伝達していく速度」は、
媒質粒子同士の関係
できまるんだね。
つまりは、
・媒質の種類(水とか、空気とか、油とか)
・媒質の温度
だけで決まるってこと。
(振動が伝達する速度=「波の形」が移動する速度が、ね)
たとえば、
音速(音が「空気中」を伝達する速度)は
$V=331.5+0.6t(tは摂氏温度)$
って、
温度だけで決まる値だったり。
ヘリウムガスを吸って
声が高くなるのは、
ヘリウムという「違う媒質」を通して音を伝達しているから
だったり。
(詳しくはこちら)
水の中で喋ると、(水で伝達させて声を伝えると)
声が聞こえた方向が認識できなかったり。
(空気に比べて、水の方が4倍も伝達速度が速いからですね。左右の耳での「時間差」を感じ取れないのです)
振動が伝達する速度=「波の形」が移動する速度
を決めるのは、
・媒質の種類(水とか、空気とか、油とか)
・媒質の温度
だけっ!!なんだわ。
覚えといてください。
波の基本事項その2.波が進む速度は、波長と振動数の積($V=fλ$)である。
波の形が移動する速度、ですね。
波が進む速度。
それは、
波長と振動数の積である。
($V=fλ$)
この公式は、
暗記している方も
多いんじゃないでしょうか?
でもね、
波の基本がわかっていれば、
これも当たり前な話で。
ほら、
波の基本です。
Vは、
1秒間あたりに、波の形が進んだ距離。
fは、
1秒間あたりに、発生した波の個数。(波源が振動した回数)
λは、
波の1個分の長さ。
ですよね?
波の基本というか、
物理の基本。
文字の定義ですね?
イメージできてます?
ですから、
たとえば、
1秒間に波(〜)が4個発生したとすると、
1秒間あたりに波(〜)が進んだ距離は
〜〜〜〜
になりますよね。
つまり、
波の1波長の長さ(λ)4個分が、
波の進む速度になるわけ。
$V=4λ$
おわかり?
ここら辺がわからない人は、数学をやり直した方が早いと思います。
物理じゃなくて、数学の問題です。
波の基本事項その3.ドップラー効果って、波の基本だけで解ける。
ここからが本番ですね。
ドップラー効果に、特別な公式はいらないのです。
だって、
ドップラー効果も「波」だもの。
ドップラー効果とは
波について、
・波源が動く場合は?
・聞き手が動く場合は?
を考えただけ。
簡単にいうとね、
波源が動く→波長が変わる。
聞き手が動く→聞き手が出会う「波の数」が変わる。
ですよね?
ここが理解できているか?
がドップラー効果。
波の基本。
1.波源が動く→波長が変わる。
なんで、
波源が動くと波長が変わるの?
それはね、、
波は、振動の伝達だからです。
波源って
波を生み出す装置ですよね?
じゃあ、そもそも・・・
波を生み出す
ってどういうこと?
波が生まれていく仕組み。
それは、
1つの粒子が単振動している。
↓
隣との流体摩擦が起こる。
↓
その粒子の周り(球状ですね)が単振動をし始める。
↓
また、その周りの粒子が単振動をし始める。
って話ですよね?
波源とは、
強制的に単振動をし続ける装置
ですから、
そのエネルギーがとなりに、となりに伝わっていく。
どうやって?
隣の粒子が、
つられて単振動を始めるからです。
隣の粒子が震え出す。
ブルブル。
1つの粒子が震えていると、
その周りの粒子も震え出すんですよね。
だから、
球形に単振動が「伝わっていく」。
伝わっていくって、
「〜」が流れていく事じゃないですよ?
隣も同じ「単振動をし始める」
ってことですからね?
となりが、単振動を始める。
ほら、
何か「波」という個体が
押し出されているわけじゃない。
波という物質は存在しない。
波とは、
1つの粒子が震えていると、
その周りの粒子も震え出す・・・
また、
その周りも震え出す・・・
という連鎖をいうんです。
その「現象」の名前が、波。
波源から「波が出ている」わけじゃ
ないんですぜ?
波源はただ、
強制的に単振動しているだけ。
すると、
流体摩擦や圧力差とかで
隣の粒子も単振動を始める。
周りに単振動が伝わっていく。
それだけなのです。
これが、
波が生まれていく仕組み。
振動の伝達。
伝わってるのは、振動なのです。
ね?
波がニョロニョロ出てる
んじゃないですよ?
ただ、振動が連鎖してる
だけですよ?
ってこと。
知ってました?
これが、波の大前提。
定義ですね。
するとね、「波源が動く→波長が変わる。」ってのもわかりますよね?
簡単に説明ができる。
ちょっと想像すれば、
ん?そんなん当たり前じゃん?
って話になる。
よね?
うーん。
ちょいと説明していきますね。
波長が変わるとは、
波1個分の「長さ」が変わる
ってことですから。
言い換えただけです。
波長が変わるとは、
波1個分の「長さ」が変わる
よーく、
覚えておいてください。
見た目の話です。
「波の形」の1個分の長さの話
ですからね?
それが変わる→波長が変わる
ってこと。
たとえばね。
波源って空間上に波の形(〜)を
生み出し続けるんですが、
波源が動くと、
波の形(〜)のスタートを出した位置
と
波の形(〜)のゴールを出した位置
がズレますよね?
ここがポイントです。
スタートの位置が
ズレるのはいいんですが、
ゴールの波を出した位置がズレると、
「波形」の長さが変わります。
なぜなら、
波源が1周期分の波(〜)を出した時、
波源の位置が動いていると、
波の形(〜)が
ギュッと縮まったり、
逆に広がったりしてしまうから。
波源が動かない場合に比べて、
スタートに対する
ゴールの位置がズレるからです。
たとえば、
空気中の音波の伝達を考えると、
音速:空気粒子が、隣の粒子に振動を伝達する速度
って一定ですよね?
温度が変わらなければ、一定。
振動が空気中で伝達する速度って、
一定なんです。
でも、
そこで音源が速度vで動いていると。
1個の波を出している間に、波源はvTだけ動きますよね?
(Tは周期。波源が1回振動するまでの時間)
スタートの振動を伝えた時よりも、
vTだけズレた位置にいる。
そこで、最後の振動を伝える。
だから、
波の形の長さが縮んだり、
伸びたりするんです。
うーん。
イメージできる?
(詳しい導出はこちらの記事で)
2.聞き手が動く→聞き手が出会う「波の数」が変わる。
こちらも同じです。
聞き手が動くと、聞き手が出会う「波の数」が変わるんですね。
もっというと、
聞き手が「1秒間に出会う波の数」が変わる
んですわ。
つまり、
聞き手が受け取る
波の「振動数」が変わってくる。
なぜって?
それは、
聞き手が「1秒間に出会う波の数」が変わる
から・・・
堂々巡りですね。w
まあ聞き手が動くと、
聞き手が「1秒間に出会う波の数」が変わる
んです。
聞き手は
空気中の「音の波の形」を変えたりできないし、(つまり波長は変えられない)
音が伝わる速さ(音速)は変えられないけれど、
音を自分から迎えにいくこと
ができるからですね。
すると、
音の波を1個受け取ってから、次を受け取り切るまでの時間
が短くなるんですよね。
音に向かっていくから。
音速+自分の速度で、音を受け取っていくことになります。
すると、
1秒間に「波の形」100個分しか受け取れなかったのが、
105個に増えたりする。
すると、
聞き手が「1秒間に出会う波の数」が変わる
から・・・
聞き手が受け取る
波の「振動数」が変わってくるんですねーっ
わかります?
あとは、
これを図にして、数式にするだけです。
(詳しい導出はこちらの記事で)