だいたいiPhoneみたいなものは僕にとって、妄想を喚起するアイテムではあるけれど、自分がそれを使う気は毛頭ない。インターネットもそうです。ほとんど検索したことがありません。

――じゃあ何から妄想して、作品を作るんですか。

 他人を風景として眺めて妄想するんです。僕は現実的なものには、興味があまりないんですよ。

 SFが好きなのも一緒で、妄想できるものだから。日常的なドラマを作りたいと思ったこともない。結局、日常から何かしら飛躍していないと、僕にとしてはものをつくる動機が生まれない。

 SFが僕をこうさせたのか、もともとこういう人間だからSFが好きなのかは分からない。とにかく、僕は人間にあまり興味がないんですよ。自分の人生も含めて、どこか他人事なんです。上の空で生きているってよく言われます。人類の運命とか存亡とか、そういうことには興味津々。でも人間の心的葛藤には全然興味がわかない。

 SFにも文芸寄りのSFっていっぱいありますが、僕には「そんなSFだったら文芸作品を読めばいいじゃん」としか思えない。男女の関係だとか肉親の確執だとかって話は、聖書から延々と続く世界ですよ。やればやるほど分からなくなるに決まっている。

DIAMOND online『「攻殻機動隊」の押井守が語る「日本人は進んで未来を捨ててきた」

』より引用)

 

人と違う結果が欲しいならば、「人と違うこと」をしなければいけない。

 

受験単体でも。

 

人生全体でも。