もう随分前になりますが,九大で新入生数学基礎学力調査(2003〜2012)をやっていた頃,高校の先生方とコミュニケーションがありました.その頃に何度も強く要望されたことは,(1)入試の模範解答を公開してほしい,(2)採点基準を公開してほしい,の2点でした.模範解答については,公開すればそれがバイブルとなってその解き方しか学習しなくなるという強烈な副作用があること,実際には恐らく皆さんの想像以上に多様な解答があり,それらは大変貴重なものだと考えていて,きちんと全てフォローした上で採点していることをお伝えしました.採点基準については,非常に多様な解答があって,その場で複数の担当者が熱心な議論の上で基準を決めていて,とても公開できるものではない,ということをお伝えしました.ただ,数学としての価値の判断は,高校も大学も同じ数学ですからそう変わりません,自信持って指導されてください,と申し上げました.

 

しかし,先方は全く納得していただけず,「高校生の努力が報われるような入試問題にして欲しい」ということを強く言われたのが印象的でした.つまり,各高校は過去の各大学の入試を分析して傾向と対策を策定して生徒に学習してもらっている,そういう努力を無にしないような入試を…という意味でした.私たちが考える「努力」とはかなり方向性が違っていて,とまどったことをよく覚えています. それも,もう15年前の話ですから,今は状況や意識が変わっているでしょうね,きっと.

 

 

高校教師や、予備校の講師は、

入試問題を分析して、予想して、対策しようとする。

 

一方で、大学教授は、

数学の力がちゃんとあるか、を判断するための問題を出そうとする。

 

 

少なくとも、

大学教授が考える「数学の努力」とは、傾向と対策じゃない。

 

 

もっと、基礎基本にあるもの。

 

数学の力、というもの。

 

 

努力の方向性を、大学教授に合わせることが、

大事かもしれないね。