〇〇様
お世話になっております。白滝です。
遅くなりましたが、
●●ご登録時にいただいた以下のご質問について、回答いたします。
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複数の公式が絡む問題で公式の適用範囲が分からなくなってしまいます。
例えば一定の電力を送るときのジュール熱を減らすには抵抗と電圧をどうすればよいかという問題で、オームの法則を用いてジュール熱の式を変形しただけで意味が変わったように見え、混乱してしまいました。
(単位時間あたりに発生するジュール熱=VI=RI²=V²/Rで、電力=VI=一定値のため、それぞれジュール熱は一定値、ジュール熱は抵抗を小さく電圧を大きくすると減少、ジュール熱は電圧を小さく抵抗を大きくすると減少、のように解釈が変わってしまう)
論理のどこかに破綻があると思うのですが、自力では分からず、人に訊いても「変に深く考えないで」としか言われませんでした。恐らくこのように公式を無闇矢鱈と繋げてしまったのが原因だと思うのですが、同一回路で共通しているはずのVやI、Rの値をそのまま適用できないことが納得できません。
電流や電圧、抵抗について自分なりに理解をしていたつもりでしたが本質的な理解に至っていないという実感があります。
長々とした長文失礼いたしました。
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まずは、この
具体的な方のご質問についてお答えしますね。
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一定の電力を送るときのジュール熱を減らすには抵抗と電圧をどうすればよいかという問題
答え:高電圧・低電流
→P=VI=V^2/R=RI^2のどれを使うかで、解釈が変わるのでは?
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(電線の送電ロスをなくすには?という問題。どの公式を使うかで答えが変わってしまう、というご相談)
いや、なかなか鋭いご質問です。
私も高3の半ばで「あれ?」と気づいて、
ハッと解決したものですので。w
この質問はよくあるのですが、
なかなか教師も理屈を知らないんですよね・・・
ええ。
言われてみれば、あれ?と思うのですが、
説明できる人は少ない。
というか、これがわからない原因かと思うのですが、
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問題自体が説明不足だったりします。
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説明が足りていない。
足りてないから、
勘違いが起こっている。
何を勘違いしているかというと、
・回路図
・Vに入る値
この2つですね。
まず1つ目。
それは、
イメージしている回路図が違う
ってこと。
多分、〇〇さんの頭にある回路図は、
発電所→電線(電線の抵抗)→発電所
ですよね。
発電所と電線の抵抗
だけがある回路。
発電所で送られたエネルギーが、全部電線の抵抗で消費される
すると、〇〇さんの言う通りの、
公式の使い方で解釈が変わる話になります。
(というか、電圧や電流を変換しても、電線の消費電力は変わらないw)
でもね、
その回路図が間違っているんですよね。
実際の回路図は、
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発電所→電線(電線の抵抗)→家庭→発電所
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なんですよ。
電線の抵抗だけでなく、家庭でも消費される。
(家庭:工場やら、何やらも含めてます)
でね、
電圧のほとんどは、家庭にかかっている
のです。
発電所の電圧=電線の電圧+家庭の電圧
で、電線にかかっている電圧は小さい。
式にすれば、
電線の電圧は、
発電所の電圧から、家庭の電圧を引いた分
になります。
だから、
発電所の電圧をどれだけ大きくしても、
ほとんどは家庭にかかるから、
電線にかかる電圧はそんなに上がらないのです。
いいです?
でね、
問題が問うているのは、
「無駄な熱損失」をいかに減らすか
ですから、
それって電線での損失の話でしょう?
で、使う公式はもちろん、
P=VI=V^2/R=RI^2
なのですが、
電線での熱損失(消費電力)をPとすると、
Vは電線にかかる電圧なのです。
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発電所の電圧ではないのです。
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ここが要注意ですね。
ここで、勘違いが生まれている。
(これが2つ目です。Vに入る値が違う。)
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【回路図】
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発電所→電線(電線の抵抗)→家庭→発電所
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発電所の電圧をどれだけ大きくしても、
ほとんどは家庭にかかるから、
電線にかかる電圧はそんなに上がらない
+
【Vに入る値】
P=VI=V^2/R=RI^2について、
電線での熱損失(消費電力)をPとすると、
Vは電線にかかる電圧
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ここを抑えれば、
もう解決は可能かと思います。
(もしもう少し解説が必要でしたら)
↓
↓
ーーーーーーー
発電所→電線(電線の抵抗)→家庭→発電所
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発電所の電圧を大きくしても、
電線にかかる電圧はそれほど大きくならない。
(と言うか、家庭での消費電力を考慮しないといけないので、計算できない。この電圧から計算する方法では、問題文の条件が足りていない。)
よってね、
公式「P=V^2/R」の方を使って考えるのは間違い
って話になるんですね。
だって、その問題文では、
電線にかかる電圧はわからないもの。
発電所の電圧を上げた場合、
電線にかかる電圧がどうなるか、わからないもの。
だからそもそも、
電圧で考えようとするのが、間違っている。
(だって、電線にかかる電圧って、わからないものw)
うんうん。
一方で、
電線にかかる「電流」は丸わかりなんですよね。w
なぜなら、
一本線の回路なら電流は共通ですから。
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発電所の電流=電線の電流
(=家庭の電流)
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だから、
発電所の電流が、電線の電流と一致する。
つまり、
発電所の電流を上げるほど、
電線の電流も同じだけ上がり、
電線での消費電力が上がってしまう。
だから、
電線の電流は抑えて、
同じ電力(エネルギー)を送るなら、電圧を大きくすべき。
となるんですね。
うん。
なんか、ざっくりと話すと、
そんなもんです。
(イメージは伝わりましたかね)
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先日質問をさせていただいた〇〇です。
「公式の変形だけで解釈が変わるうえにどうあがいても電力ロスが変わらない……」とパニックになっていたのはそもそも「家庭での消費電力が一定」という条件なのに「電線しか存在しない回路」で「電線での消費電力が一定」という条件を考えていたからだったんですね! 高校一年生の頃からの長年の謎だったので興奮が抑えきれないほど感動しました!!
前提としていた回路図自体が間違っていたと分かり目から鱗でした。また、公式も文字を追っているだけで理解が全くできていなかったことを痛感いたしました。本当にありがとうございます!!
(基礎理解が想定以上にできていなかったので受験直前期で今更ですが鼠の購入も検討してみます)